DIRTY BOY

3/7
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
ジョニーの話によると、[黒蠍]なるいちみは、元々は工業地域のはぐれ者達が集まった暴走族。 この街は、大昔から漁業で成り立ってきた。とはいえ、漁港自体は小さく、街を離れる若者が圧倒的で、漁は細々としたものだった。 高度経済成長真っ只中の時代、この街に巨大な工業地域を住民の反対にも耳を貸さず、無理矢理、市は強行した。 海は埋め立てられ、汚され、巨大な団地が建てられた。 その頃から、旧住民と新住民は運河を隔て、対立の歴史を刻んできた。 その歴史は何十年たった今も、根強くいきずいている。 事ある毎に、対立してきている。 学校も医者も警察管轄も、運河を隔てただけで、全く違うのだ。 したがって、生活も、気質も、考え方も… [黒蠍]は時代にそった、改造車や二輪に跨がる騎馬隊 こちら側は時代に逆行した、愚連隊… 簡単に言えばそんな感じだ。 しかし、地元の愚連隊連中の力は圧倒的で、[黒蠍]は、なるたけ地域での目立った行動は控えていた。 そんな[黒蠍]が地元の洋一を拐い、瀕死の重症を負わせる… どうもピンとこない話である。 しかも、[黒蠍]が資金源として、クスリに手を染め、あちこちにルートを拡げているらしい。 クスリ…一介の暴走族が商売に出来るものではない。 後ろが必要だ。 ハンだ… 話が繋がりだした。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!