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黒塗りの330のセドリックが駐車場に止まる。
中から町田と見知らぬ特攻服姿の男が三人。
『よう、倉田。
待たせちまったかな?』
町田がニヤニヤしながら、前の椅子に腰を降ろす。
残りの三人は向かいのカウンターに
『久しぶりだね~
倉田。
でっ、急にどうしたの。』
おしぼりで、雪駄ばきの足の指の間を擦りながら、下から見上げる仕草で話かける。
『町田よ…
お前、うちの地域で、クスリ流してないか?』
少し動きを止めた町田だったが、すぐ、笑顔をつくり
『さあ?何の事だろ?』
『じゃあ、先週の土曜日、白のクジラ(クラウン)襲って、そのクジラぱくっただろ?』
『さあ?何の事だろ?それよか、倉田…』
町田の言葉をさえぎり倉田が立ち上がる。
『とぼけてんじゃねえよ。どうしちまったんだよ。町田!』
少し斜に構えて町田が見上げる。
『倉田よ。おめぇも大将気取ってんなら、わかるべ。
チームでかくなりゃ、末端の人間の顔も名前もわかりゃしねえ。
そんな奴等の行動に監視なんて出来るわけねえべな。
まっ、うちも有名になって、色々ありますがね。』
カウンターの特攻服の一人が隅の公衆電話で誰かに電話をかけている。
『なあ、倉田よ。
そんな説教しに、わざわざここまで、来たの?
俺達、ガキの頃からのツレやん。
大将の立場なんか、今日は忘れて、昔話に花咲かそうや。』
『じゃあ、てめえは、なんで兵隊連れてきてんだ?』
『商談でも、しようかと思ってね。』
町田はおしぼりを丸めた。
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