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『だいたいの話はジョニーから聴いたよ。
ケイゴさんには、俺達も世話になってっから、気にはなってんだ。』
えんじのニッカズボンに地下足袋姿の金石が汗を流しながら、豚玉をほうばる。
『で…何すりゃいい?』
『《黒蠍》の町田に、話聞きてぇんだが、知っての通り俺達の街じゃ、情報すら、遮断されてる訳よ。
だから、一席設けて欲しいんだわ。』
トミーが泡盛を薦めながら言った。
『町田ですか…
構いませんが、確かケイゴさんの弟やられてんですよね?
そんな相手に話もくそもないでしょうが。』
『バックにややこしいのがいるらしくて…
そいつらの、正体が知りたくてな。』
『じゃあ、簡単だ。
町田拐って、はかせましょう。』
『そうもいかんよ。
今、奴等どんどん周りの族捲き込んで、かなりの、大所帯になってんの。』
『あんなチンピラにそんな器量ありますかね?』
『だから、バックに付いてるのが、かなりのもんだと思う。』
トミーはこないだ、会ったハンの事を話した。
小坊主が口を挟んだ。
『あ~、ハンって日本海で商売して、へたうってこっちに流れて来たハンでしょ。』
『何?小坊主。
知ってんのか?』
『はぁ。北の奴で、荒稼ぎしすぎて、あっちのやくざや中国マフィアにまで目つけられて、命からがら逃げたって話ですよ。』
『ほんまか?それ。』『はあ。うちの母ちゃんパンスケの仲介やってて、えらく入れ込んだ女がいて、ええ客やって…
それが、ハンて奴。
その女、追っかけて、こっちに来たらしいですよ。』
『おっ、国に帰んなくても、祖国統一の第一歩ができそうやな。』金石がワクワクした素振りで、泡盛を煽った。
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