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『まあ、何にしても、あんなのに騙されちゃあかん…
あいつは、お嬢ちゃんみたいなの食い潰しては、ブクブク肥る豚なんやから。』
『でも、私…
お金がいるんです。
仕事も辞めてきたし…』
『わけえのに、金、金言ってちゃ、立派なレディになれんよ。』
『あなたに何が解るんですか?』
悦子の瞳からまた大粒の涙が流れた。
『わかった、わかった。
仕事は俺がなんとかするよ。
だから、あそこには近付くな。』
『なんの仕事?』
『あんた、掃除洗濯料理出来る?』
『また馬鹿にする。』『じゃ、しばらく俺の家政婦してよ。
朝10時から夕方のあんたの都合いい時間まででいいや。
そのうち、ちゃんとした仕事見つけてやっから。
それまで日給一万で俺の下部や。』
けたけた笑うケイゴに悦子は
(この人、信用してみよう)と行き場を失った自分の明日からを、預けてみようと思った。
少し軽率すぎるかもしれないが、何かしら引き付けられるものをケイゴに感じた。
『いきなりやけど、腹へらねえ?』
『時給くれるなら付き合います。』
『しっかりしてんな~この学芸会は。』
『はい。
女優崩れですから。』
『言うね…
負けるわ。』
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