転入

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  「じゃあクラスに案内するわね。もうすぐHRが始まるから」 クラス名簿を持って自分を通りすぎた千登世に続いて、雛樹空も職員室を後にした。 職員室に向かっていた時に通った道を、半分ほどまで戻ったところで階段をのぼった。 階段は中央と端の二ヶ所にあるらしい。 それを聞いて、多少は大きい校舎が小さく感じるだろうと、雛樹空は少し安心した。 「クラスの子、みんな良い子ばかりだから安心してね」 会話がなく、沈黙が続いていた二人の空気を壊すように千登世は唐突に言った。 恐らくは何も喋らないのを不安になっていると思い、安心させようと雛樹空に言ったのだろう。 もっとも「不安」という無縁なもの、雛樹空は持っていないのだが。 やっぱりこの人は真面目だと、千登世の第一印象を人物像に雛樹空は決めた。
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