ＣＨＡＮＧＥ

転入

　
｢な、何かしら？明城さん｣

千登世はその｢世界｣に引きずり込まれたのか一歩後ずさる。

｢時計見てくんない？
ＨＲの時間過ぎてるんだけど？
アタシらには時間守れとか言うくせに自分が守れてないじゃん。
早く出てってくんない？
はっきり言ってジャマ｣

｢……｣

千登世は顔を悲しそうに歪ませ、更に一歩後ずさると

｢分かったわ｣

先程職員室から持ってきた名簿を手に取ると、悔しそうに歯を食いしばり、顔をうつむき気味にして教室を出ていった。

教室内にはしはじ沈黙が訪れる。
雛樹空は千登世が席を教える前に出て行ってしまった為、どうすることも出来ずに立ちつくしていた。

ずっとこの空気が続くと思いきや、それを破ったのは廊下側から二列目の一番の後ろに座る子の笑い声だった。