212人が本棚に入れています
本棚に追加
それを見計らったように右隣の彼女は身をのり出す。
「あたし舞結って言うんだ。
弓槻 舞結(ユヅキ マユ)。
よろしくね」
笑顔を向けられて、雛樹空の胸はとくんと小さく脈を打った。
何だか安心出来る、そんな温かな笑顔だったから。
「こっちこそよろしくな」
雛樹空がそう言うと、舞結は嬉しそうに大きく頷いた。
舞結は前髪を中央で分け、ごけ茶色をした肩より少し短めの髪で、身長は雛樹空より小さく、ブラウスの上にベージュ色の薄いセーターを着ている。
「あ、ついでに紹介しとくと、あのこわーーいが瑞妃ね」
舞結のその紹介の仕方が気に入らなかったらしく、瑞妃は自分の席を立ち、二人の席に近づくと、舞結の頭を拳で軽く小突いた。
「いった」
「一言余計なんだよお前は」
舞結に睨みを利かせると
「アタシ
明城 瑞妃。
(アキシロ ミズキ)
よろしく」
雛樹空に向かって小さな笑みを浮かべて言った。
最初のコメントを投稿しよう!