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「そっか、ヒナは転校生だから知らないんだよね。
ここは授業受けるのもサボるのも自由なの。
あたしは基本的に全教科出てるけど、瑞妃はあの性格だから大体はサボってるよ」
「そうなんだ……」
最早学校と呼ぶのさえ怪しい。
本当にここは高校なのか?
返ってくるはずがない答えを雛樹空は自分に求める。
「今日の一時間目は……音楽だったかな。
また面倒なの……」
そんな雛樹空に気付かず、舞結は次の話題に進んでいる。
基本ゴーイングマイウェイ、つまり我が道を行くタイプの舞結は人を振り回しがち。
自覚なしだから更にタチが悪い。
「……なんで?教室遠いの?」
いきなり話題が変わった事に驚きながらも、雛樹空もそれについていく。
「ううん、そうじゃないよ。
ほら、この学園って男女別になってまだ二年目でしょ?
元々は中高一貫校で、中等部だった方を女子が使ってるんだけど、音楽室とか美術室とか、特別な教室は全部高等部。
つまり、今の男子棟にあるの。
だから移動しなきゃなんだよね」
「なるほど」
「あんなとこホントは行きたくないんだけど仕方ないし……。
音楽の教科書どこだっけ……。
ヒナ教科書ある?」
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