■学園内大会本選

17/45

42229人が本棚に入れています
本棚に追加
/709ページ
ウィルスは二人の前に行くと、構えていた剣を下ろした。 明らかに怒っている。怒らないわけがない。 「君たち! 僕を侮辱しているのかい?!」 「あ、すいません」 だらしなくネクタイを緩めるカインが、へらへらと笑いながら言った。 ウィルスが先輩だと知らないのだろうか、という態度だ。 カインはゆっくりと立ち上がると、アミティエを起こした。 「き、君たちはッ!!」 そう言うと、ウィルスの剣が振り上げられ、アミティエに向かって一閃しようとする。 大剣とは思えない速度で、横一文字に刃が走った。 瞬間、キンッと耳障りな金属音が響く。 「……やる気がでたかい」 「元からありますよ」 カインが絶えず笑顔で言葉を紡ぐ。 その手には、同様に大剣が握られている。 「じゃあ、やろうか」 「アミティエ、行くよ」 アミティエは頷くと、黒い手袋の上からつけた指輪を掲げた。 指輪に刻まれている文様が光輝き、アミティエの背中に――翼が生んだ。 「は……なんだあれっ!?」 唐突すぎて目を疑ってしまう。 指輪が輝いたかと思えば、急にアミティエが妖精のようになってしまったのだから。 驚くラスターに、レイナが見慣れたふうに答えた。 「あれは指輪にエンチャントって言う付加をしてるのよ」 「エンチャント……、付加?」 「ええ。例えば、指輪に炎のマナを込めているとかね。リリスの銃弾と同じよ」 「でも羽ってのは……?」 「あれはモンスターの羽を付加していると聞いたわ」
/709ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42229人が本棚に入れています
本棚に追加