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試合会場では、ウィルスとカインが剣を交えていた。
弾いては振るい、避けては振るう。
一見、均衡を保っているように見える。
しかし、、アミティエは翼で上空に舞い上がり詠唱を始めていた。
ウィルスの仲間は、カインにあっさりと一蹴されてしまった。
その詠唱を止める術がないと、ウィルスは焦っていた。
「ど、どけえ!」
「どいても先輩は魔法が使えないから、迎撃できませんよ」
――こいつ、僕のことを知っていたのか!!
にやりと笑うカインに、ルイネは顔を歪めた。
そう、ウィルスはほぼ詰んでいる。
「くそぉッ!! 僕はこんなところで……! 二年なんかに!」
焦りのためか、剣技が雑になっている。
その隙をカインは見逃さなかった。
低空の蹴りで相手の足を払い、体制を崩すと――
「壬(みずのえ)」
そこに剣を振り上げた瞬間、水柱が噴き出した。
一度上空に飛ばされたウィルスは、そのまま重力によって地面に打ち付けられた。
「…ぅ……う……」
「――明光の鉄槌、断罪のごとく下す」
呻き声を上げるウィルスに、アミティエの詠唱が無慈悲にも響いた。
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