■学園内大会本選

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フィールドは入った瞬間から変わっていた。 今回は渓谷。 山や山脈に挟まれているが、それより標高の低い箇所が細長く溝状に伸びた地形だ。 真ん中には、石造の巨大な橋がある。 『さあ! 学園内大会決勝戦です!  準備は良いですね!』 アナウンスが響き渡ると、観客席が沸きあがった。耳が痛いほどに。 そして、冷静だったアナウンスも興奮した様子で叫んだ。 『試合――開始ッ!!』 「作戦通りいきましょう」 アルスがそう言うと、ラスターはリリスと共に前線を進んで行った。 ラスター達が行った後で、シオンは訝しげに呟いた。 「……カイン達はわざわざこちらの作戦に乗ったのか」 え? と、レイナが小首を傾げる。 そしてシオンの視線を追うと、ずっと向こうの木々の側にカインとアミティエが立っていた。 「では、お願いしますね」 「頑張ってね!」 アルスとリディアは、ラスターとリリスを追うように走り出していった。 それを確認してからか、カインとアミティエが動き出した。 でこぼこの地帯を跳び、あっという間に二人の前に――。 「シオン先輩、久しぶりですね」 「そうだな。前回は……残念ながら戦えなかったもんな」 シオンとカインは笑っていた。 まるで楽しそうに、射抜くような眼光をぶつけ合って。 「じゃあ始めましょう。お互いに楽しく」 「先輩としての意地を見せてやるよ」 数瞬の後、四人は一斉に動き出した。
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