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「カインはこちらに乗ってきましたか。全て2対2とは……チーム戦の意味を理解しているんですかね?」
目の前に立つ二人に、皮肉を込めて問いかけた。
しかし、人のことは言えませんか、と付け加えてアルスは微笑した。
「支援組を押さえろとのことでな」
アルスとリディアの前には、ローブに身を包んで杖をもつ男と、鎧で固められてハンマーを持つ男がいた。
「アルス、どうする?」
「手っ取り早くいきましょう」
杖を構える男は詠唱を始め、ハンマーを持つ男が猪のように突進してくる。
鼻息を荒くして、あなたは動物ですか――と、アルスは笑っていた。
「切り裂くよ! エアサイス!」
スペルキャンセル。
さすがアルスの仲間だけはあると、敵の男は笑っていた。
エアサイスは、杖を持つ男を襲い、詠唱を阻止した。
しかし、それは選択ミスだろうか。
猪を先に射殺さねば、二人が受ける術はないというのに。
「喰らえい!」
「アイスランス」
猪とリディアを挟むように、氷の槍が大地に突き刺さった。
リディアは陽気に礼を言いながら、ぴょんと後ろに跳んだ。
猪は忌々しげにアルスを睨むと、進路を変えた。
「貴様から先に!」
「ぐわぁぁぁぁああっ!」
しかし、仲間の絶叫に猪は行動を停止した。
後ろでは杖を持つ男は倒れている。
「アルス、こっちはオッケー」
リディアは、アルスの放ったアイスランスをエアサイスで砕き、大量かつ大きな氷のつぶてを吹雪のように勢いよく相手に放っていたようだ。
ツララのようなものが、倒れる男の側に転がっている。
「さて、ではこちらも」
アルスはニヤリと笑いながら――逃げた。
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