■学園内大会本選

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ぴしっ、と亀裂の走る音が聞こえた。 「なにっ!?」 猪の鎧を見ると、無数のひびが走っている。 なぜかと戸惑う猪に、アルスは肩をすくめて説明した。 「冷やした物質を、急激に熱したらどうなるか……、わかりますよね?」 パチンッ。 アルスが指を鳴らすと、呼応するように鎧が割れた。 パリンッと、ガラスのように砕け散る。 猪はそれを呆然と見ていたが、次第に口の端を歪め、哄笑した。 「ふはははは! 鎧が無くとも武器がある」 そう、相手の防具より武器を破壊するべきだった。 猪のハンマーは、アルスに向かって勢いよく振り下ろされた。 しかし、地面を粘土のように歪めてしまう一撃に、アルスは動く素振りを見せなかった。 それどころか、 「では降参してもらわねば」 その一撃を、落ちてきたボールをキャッチするように、片手で支えていた。 男の目が驚愕に見開く。 振り下ろした一撃は本気で、証拠にアルスの踏む地面がへこんでいる。 それなのに、アルス自身は微動だにしていない。 「なんだと……!」 「舐めないでください。シオンやカインを制すのに……魔法だけなわけがないでしょう?」
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