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もう一方で、シオンとカインが対峙していた。
レイナは、アミティエの放つ光の矢を悠々と避けつつ、接近している。
どちらもシオン側の方が優勢だった。
カインが剣を振るうと、縫うようにそこにシオンの殴打が打ち込まれていく。
カインは、シオンの間合いに入っていた。
「アローレイ!」
光の矢が螺旋を描いて、レイナを襲う。
しかし、レイナもそれを避けて自分の間合いを作っていた。
レイナの突き出した細剣を、アミティエは腰に携えた長剣で何とか防ぎきっている。
「無理はしないほうがいいわよ」
――まったくだよねぇ。
アミティエは笑みを溢していたが、かなり分が悪い状況だ。
アミティエは刀身を弾いた反動で後ろへ跳ぶと、指輪の魔法を展開させた。
「モグラ!」
その瞬間、レイナの足元の大地が牙となって隆起する。
しかし、レイナは当然のようにそれを避けるのだから、アミティエは笑うしかなかった――
「ぶっ飛べ!!」
シオンは踏み込み、勢いよく拳を穿ち上げた。
腹を捻じ込むように突き上げられた拳に、カインは冗談なしに意識を手放しそうになった。
「ぐぅっ……!」
「カイン、まずいね。ちょっと危ないよ」
壁に叩きつられたカインは、アミティエと目配せをし、頷いた。
もちろん、シオンとレイナも警戒する。
「――戊!(つちのえ)」
その瞬間、カインは叩きつけるように大剣を振り下ろした。
剣が地面に叩きつけられた瞬間、大地が爆発を起こして崩れ落ちた。
二人の姿とともに。
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