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「私は聞いたことがあります。古代の文字で、強力な魔法を生み出すことが可能だとか……」
「そうです。古代の魔法が強力と呼ばれる由縁はルーン文字です」
その説明に、ラスターは首を傾げした。
ルーン文字という便利な文字を、どうして一般化しないのか、と。
「じゃあなんで今の魔法はルーン文字を使わないんだ?」
「解読と扱いが難しいんです」
「でもシオン先輩は……」
「彼は特別です。解読すら王立関連の高位魔術師の一部が、一部しか解読できない上に、解読できても使える保証がありません」
「保証、ですか?」
リリスが言うと、アルスは目を細めた。
「下手に使えば制御ができなくなり、心が壊れます」
その言葉にラスターは目を見開き、リリスは両手で口を覆って驚いた。
つまり、今のシオンは心が壊れている状態なのかもしれないと。
「シオン先輩は……」
「本人いわく、レイナちゃんのためなら何でもできる!だそうです」
しかし、アルスの茶目っ気を出した声で、リリスとラスターは苦笑いを浮かべた。
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