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「――氷影の鳥籠」
氷のように冷たい声で紡がれる。
その瞬間、シオンとカインを囲むように、地面が凍結し、そこから大量の氷槍が隆起した。
「終焉だ」
「降参させないとは、えげつない……」
笑声交じりに言いながら、大剣を一閃した。
銀色の軌跡が尾を引いて、シオンの胴体へと吸い込まれていく。
近づきすぎましたね。――カインの表情から、そう伺えた。
そして大剣は、シオンの胴体を切断した。
――氷のシオンを。
「こっちだ」
斬ったものは、シオンの姿が映し出された“氷槍”だった。
カインが周囲を見回すと、幾重にもある氷槍には、シオンの姿が映し出されている。
それでもカインは微笑を崩さなかった。
「なら……全て薙ぎ払う!」
カインは遠心力を使った回転斬りで、邪魔な氷を一掃した。
しかし、斬っても斬っても氷槍がなくならない。
「なっ……!」
カインの表情が曇り、初めて焦りの色が浮かんだ。
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