■学園内大会本選

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  「穿つ!」 どこからか、シオンは槍を投擲した。 普通に投擲すれば、まず回避されるか防御される。 しかし今のカインには、無数のシオンが投擲したように見えて、反応が遅れてしまった。 ギリギリで回避した槍を、苦い表情で見ている。 「お前の敗因を教えてやる」 さらに槍が投擲された。 今度は左右。 なぜかと驚くカインの目には、氷の槍だと気づくまでに数瞬を要した。 「お前は乱戦で実力を発揮する。けど、俺は一対一にばかり特化しているんだ」 避けつつ、氷を砕き、声の方向を探す。 しかし、声が反響してシオンの位置が掴めなかった。 「そして何より」 氷に映り出されている全てのシオンが、槍を突きだすような構えに入る。 「レイナちゃんを……、レイナちゃんを傷つけたことだぁぁぁああああッ!! 死! 許さん! 絶対に! 滅滅滅滅滅ぅ!」 全ての氷に映るシオンが、槍を投擲した。 無数の槍が、雨のように襲い掛かる。 四方八方から降り注ぐ槍を、どうしろというのか。 しかし、カインは笑った。 「庚っ!(かのえ)」 剣を地面に突き刺すと、カインの足元から光が噴出した。 まるで噴火したような光は、守護壁のようにカインを守っている。 そして光は難なく無数の槍を防いだ。 「遊びは……終わりだ!」 だが、その頭上から氷の――いや、本物のシオンが降りかかる。 剣を突き刺していたカインは、驚きに目を剥いたまま。 「がぁっ……ぐぅ……!」 シオンの一撃を受けて、ボールのようにバウンドした。 それでも意識を失わないのは、さすがカインだろう。 しかし、シオンに矛先を突きつけられているのだから―― 『勝者Cチーム! 二年連続でシオン率いるチームの勝利ですっ!! やはり強い!』 アナウンスが宣言すると、会場は今までで最高の熱気と歓声に包まれてい。
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