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「すげぇ……やっぱりすげぇ!」
ラスターはシオンの実力に見惚れ、その目を輝かせていた。
一つ間違えれば、それは狂気を孕んだような目だ。
「それよりも、一年生で優勝とは良かったじゃないですか」
そう、名目上だが二人は一学年での学園一番になったのだ。
しかし、アルスの淡々とした言葉に、二人は素直に喜びを示さなかった。
「どうしたの? 嬉しくないの?」
リディアが不思議そうに言うが、それは意地悪だったのかもしれない。
内気なリリスと、負けん気の強いラスターに対してなのだから。
「いえ、ちょっとは嬉しいけど、私達なにもしてないので……」
「俺は勝った気がしない。……戦績をみてもさ」
「良いじゃないですか。勝ちは勝ちです」
「でも」
「それよりも、心配の方が先ですよ?」
アルスの発言に、二人は首を傾げた。
「はぅ。だって、一年生で優勝したんだよ? ある意味、学園で一番目立ったわけ」
「晴れて有名人、教師の期待は強まり、校内でも一目置かれる存在だ。ああ、素晴らしいですねぇ?」
その言葉に、ラスターとリリスは「ええぇぇぇええっっ!!」と叫んだ。
困る、それは困る。
特にリリスは焦っていた。
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