■学園内大会本選

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  目を開けて入った光景に、ラスターは驚いていた。 巨大な円形の硝子の上に立っていて、その真下に観客席があって熱気と歓声に包まれていたからだ。 何処にこんなものがあるのだろうか。 真下のは映像なのだろうか、と、ラスターは興味津々な様子だった。 「Cチームの諸君。優勝おめでとう」 その時、目の前に立つ初老の男がゆったりと言った。 どうやら校長のようだが、その雰囲気は、優しそうなお爺さんといったところだ。 「ありがとうございます」 アルスの恭しい一礼につられて、ラスターも真似た。 校長は顎鬚に指を絡めながら、ほんわかと笑っている。 「なに、畏まることはないよ」 そう言われると、余計に肩肘を張ってしまうのがラスターとリリスだ。 そんな二人を、校長は優しい目で一瞥していた。 「堅苦しい話は省略させて貰うからの。まずは優勝商品である夏期休暇を利用した、王都旅行の招待券だ」 初老の男が杖を振り上げると、シオンの手元に六枚のチケットが舞った。 「そしてシオン君にアルス君」 校長は懐から、高級そうな便箋のようなものを取り出した。 そこに目を通しながら、ゆったりと言葉を紡ぐ。 「王都から、王都直属騎士団の推薦がきたよ。それも、零番隊だ。アルス君については承諾さえすれば試験も何もかもパスときた」 騒然。大騒ぎ。 真下の観客席は騒然となっていた。 当然の反応だ。 王都直属騎士団は、騎士団の中で最もレベルが高く、選ばれた者しか入れない。 肩書きだけで暮らしていけるほどだ。 一般兵を従える騎士団、騎士団を従える近衛兵、そして近衛兵を従えるのが王都直属騎士団だ。 そして零番隊と言えば、その頂点――なのにも関わらず。 「ありがとうございます。丁重にお断りしておいていただけますか?」 「同じく。零番隊は特に、ね」 まるで興味がないかのような――いや、むしろ嫌うような態度に、観客席は言葉を失っていた。
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