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「こんな感じだ。では具体的な説明に入るぞ」
杖を懐にしまうと、教師は黒板の前に立って板書を始めた。
魔法学は、数学や魔法科学などを複合して、編纂(へんさん)した最も難しいと言われる学問だ。
「そもそも魔法とは、だ。魔法の根本的なところからだな。答えられる者は居るか?」
その言葉に生徒は目を反らし、それを見た教師は深い溜め息をついた。
入学初日から手をあげるような生徒はいないよな、と。
「しょうがない。そこの青髪の……」
そう言って、教師の視線がラスターを捉えた。
辺りを見回しても青髪は一人だ。
「ラスター、か。答えてみろ」
――え、俺!?
慌てて姿勢を正し、ラスターは表情を引き締めて答えを返した。
「え、えっと……自然界の六種類の魔力(マナ)である【光、土、風、火、水、闇】をかけ合わせて、魔法を発動するんでしたっけ……」
「うむ。……まぁ合格点だ」
教師が満足そうに頷くと、ラスターも安堵した。
教師は再び、黒板に板書を始めている。
「具体的に説明しよう。
魔法は魔力(マナ)と分子の“振動”だ。
分子は、おのおの一定の間隔で振動していて、魔力の振動数と分子の振動数を同化させ、魔法を放つ。
火の魔法なら、魔力の振動数を調節し、空気分子を激しく振動させて熱を発生さる。
回復魔法なら、人体に振動を与えることで、物質や細胞の動きを活発させ自然治癒力を向上させる。これは風の魔力の応用だ。
術式の詠唱は術者の声が、いわゆる音叉の役目を果たすんだ」
気がつけば、教師の長い説明に多くの生徒が頭を抱えている。
それを見た教師は、頬を掻いて苦笑いを浮かべた。
「……わからないか。なら簡単に教えるぞ」
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