■紛れる闇

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  「別に……変わった所は無いよな」 ラスターは目の前に建つ店を見て呟いた。 高級な店とも見れるが、目立つものは感じられない。 「そうですね。一般的です」 「そうね……。シオンにしては珍しいわ」 「ほんとだね。去年は変な料理の出てくる店だったのに……」 「……モンスターの和え物とかでてきたな」 「でも美味しかったよねー!」 アルス、レイナ、リディア、カインと繋がる不吉な発言を、アミティエが明るい声で惑わした。 モンスターの和え物。 その言葉は、二人にとって衝撃的な料理名だ。 「大丈夫大丈夫! 今回はいいとこだって」 「今度はモンスターのからあげとか!」 「……俺、帰ろうかな」 カインが怖気付くのも無理はない。 そんな不安をかき消すように(かき消していないが)、シオンは微笑んだ。 「さあ、入ろう!」 有無を言わす前に、シオンは先頭に立って店内へ歩き出した。 そして、八人と告げてしまうのだった。
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