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「おお! シオン君じゃないか!」
「久しぶりです。おやっさん」
「あら、シオン君。今日はお友達とお食事?」
「はい。祝勝会を兼ねて」
「ああ、おじさんも見たよ。二年連続おめでとな!」
「ありがとうございます」
店に入るなり、店主やテーブルに座っていた客がシオンに話しかけていた。
常連客なのだろうか?
普通の人がいるなら大丈夫だろう、と思ったのがリリスとラスター。
常連という現実に眉根を寄せたのが他一同。
シオンは「先に料理を頼んでて」と告げるなり、他の客の方へと挨拶に向かった。
それからテーブルについた七人は、メニュー表を手にとって相談を始めている。
そんな中、ラスターが通りがかった店員に声をかけた。
「すいません」
「はい、ご注文が御決まりですか?」
「いえ、変な質問なんですけど、あちらのシオン先輩は……どうしてあんなにも知り合いが多いのかわかりますか?」
学生が、どうして年配の方々達と交流が深いのか。
ラスターの答えに、店員は笑顔で返した。
「シオンさんは、この街の味方ですから」
「街の味方?」
「はい。毎日ではないですが、学園が終わった後に、この街へ来て色々としてくれるんです」
「色々? 店の手伝いとかですか?」
んーっと考え込むような素振りを見せて、店員は言葉を濁していた。
「手伝いと言うより救済ですね……? いえ、手伝ってもくれるんですけど」
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