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「例えば、この店は見た目や中身は高級なんですが、客人が殆んど平民なんです」
「そういえば、メニューの洋食とかって一般人とか学生向けだね」
そう呟いたのは、アミティエだった。
いつの間にか、七人の視線がメニューから店員に向けられている。
「オーナーから聞いたのですが……この店は破産寸前だったそうです。そこにシオンさんが現れ、再建の考えや、金銭の無利子貸し、等の援助をほどこしてくれたそうで。……そのお陰で店は建て直されて、利益も右肩上がりの状況と」
店員の言動には、憧れの色が強く浮かび上がっている。
なにより店員の饒舌さが目立つ。
「それに、街の外へ行く方の護衛や、老人達の介護……、数えればきりがありませんね。とにかく素晴らしいんです」
店員は終始笑顔だった。
しかし言い終わった後、そのことに気づいたらしく、顔を真っ赤にして走り去ってしまった。
「シオン先輩って、凄く優しいんですね」
「一途で、誰にでも優しく……ですか」
「カインも見習いなよ?」
「……お前が言うな」
リリスとアルスの言葉を聞いて、どこか嬉しそうなレイナを、ラスターは見ていた。
しかし、それに反応するほど野暮ではない。
「お待たせっと。メニュー頼んだ?」
ちょうど戻ってきたシオンに、一同は首を横に振った。
その不自然さにシオンは首を傾げたが、
「いや、まだ頼んでないよ」
「良かった!」
その言葉に、にんまりと笑った。
――嫌な予感がする。
「じゃーん!これ!」
シオンはメニュー表を取って、指を差す。
書かれていた商品の名前と写真を見て、一同が眉根を寄せた。
「愛の……」
「……パフェドリンクデラックス?」
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