■紛れる闇

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  「例えば、この店は見た目や中身は高級なんですが、客人が殆んど平民なんです」 「そういえば、メニューの洋食とかって一般人とか学生向けだね」 そう呟いたのは、アミティエだった。 いつの間にか、七人の視線がメニューから店員に向けられている。 「オーナーから聞いたのですが……この店は破産寸前だったそうです。そこにシオンさんが現れ、再建の考えや、金銭の無利子貸し、等の援助をほどこしてくれたそうで。……そのお陰で店は建て直されて、利益も右肩上がりの状況と」 店員の言動には、憧れの色が強く浮かび上がっている。 なにより店員の饒舌さが目立つ。 「それに、街の外へ行く方の護衛や、老人達の介護……、数えればきりがありませんね。とにかく素晴らしいんです」 店員は終始笑顔だった。 しかし言い終わった後、そのことに気づいたらしく、顔を真っ赤にして走り去ってしまった。 「シオン先輩って、凄く優しいんですね」 「一途で、誰にでも優しく……ですか」 「カインも見習いなよ?」 「……お前が言うな」 リリスとアルスの言葉を聞いて、どこか嬉しそうなレイナを、ラスターは見ていた。 しかし、それに反応するほど野暮ではない。 「お待たせっと。メニュー頼んだ?」 ちょうど戻ってきたシオンに、一同は首を横に振った。 その不自然さにシオンは首を傾げたが、 「いや、まだ頼んでないよ」 「良かった!」 その言葉に、にんまりと笑った。 ――嫌な予感がする。 「じゃーん!これ!」 シオンはメニュー表を取って、指を差す。 書かれていた商品の名前と写真を見て、一同が眉根を寄せた。 「愛の……」 「……パフェドリンクデラックス?」
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