■紛れる闇

6/9
前へ
/709ページ
次へ
  「そう! おやっさんに頼んどいたんだ! この日のために!」 写真を見ると、ジョッキのような容器に入った、桃色の液体と、同色でハート型のアイスが添えられている。 そこには二股のストローが一つ。 説明文にはこう書かれていた。 『当店オススメ商品!  顔がチョーギリギリまで近づくように設計された二股のストロー!  恋人と一緒に甘い一時を――。   ※期間限定! ○ッ○ー増量』 ――うわぁ……。 一同はドン引きだというのに、シオンは陽気に語り出した。 「いやあ、これすごいよなぁ。すっごくおいしそうだよな。しかも今しか食べられないんだぜ?」 「チラチラと私を見ないで……」 「……一応聞くけど……どうしたいの?」 アミティエはこの空気を察して質問すると、いい質問だ! と言わんばかりに、シオンは満面の笑みを見せた。 そして、びしっとレイナを指差す。 「勿論! レイナちゃんとチョーギリギリまで接近して、それに乗じてキ……おぶぉっっ!?」 回し蹴りという返事に、あえなく玉砕。 泣きながら倒れるシオンを、一行は苦笑いで見守っていた。 「シオン先輩はシオン先輩だな」 「あはは。そだね♪」 ラスターの言葉に、リディアは頷いた。 シオンは一瞬にして、尊敬と、上昇していた株を一気に崩落させたのだ。
/709ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42229人が本棚に入れています
本棚に追加