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「――という内容が王都より届いた。数日後、おそらく明後日辺りにに迎えが来る」
緊急集会ということで、生徒達は体育館にて、淡々と紡がれる言葉を聞いていた。
もちろん、生徒達の動揺によって、ざわめきが生じている。
言伝役のデュークは痛む胸を押さえて聞いていた。
「元よりデストロイ帝国とは冷戦状態ではあったが、まさか学園にまで手がおよぶとは……」
言いかけて、デュークは生徒達を見回した。
一年生や二年生は驚いているだけだろう。
しかし、上級生は燃えあがる者もいれば、肩を震わせ、泣き出す生徒までいる。
――そして、デュークは言葉を変えた。
「しかし」
国に仕える教師として、あるまじき発言へと。
「お前達が逃げたところで、私達は探しはしない」
「デューク先生?! 何をいいますかっ!」
「王都の命令に背くつもりですかっ!」
当然のように、隣にいた教師が叫んだ。
その叫び声を、デュークは完全に無視した。
――王国が絶対と妄信するような教師の言葉に、耳を傾けるつもりはない、と。
生徒たちも驚いている。彼は遠回しに、逃げろ、と言っているようなものだ。
「では、これにて解散する。今日は授業も無しだ。ゆっくり体を休め、気持ちを落ち着かせろ」
そう言ってデュークはマイクを降ろした。
隣にいた教師に何かを言われていたが、相手にすらしていない。
――嫌な空気が流れていた。
騎士を目指している者は、国のためになら本望とまで宣言している。
しかし、全員がそう思っているわけではないのだ。
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