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「これは予想外でしたね」
溜め息混じりに呟いたアルスだったが、その顔には焦りは見えない。
そこには学園大会の八人が集まっていた。
「全くだ。ま、そんな訳だから、パッパッと戻ってくるさ」
シオンも、そう言って笑う。二人はあくまで冷静だ。
戦場という常識の通じない場所は、経験者ですら油断すれば命を落としかねない
そこに一介の学生が義勇兵として参戦する。
二人はあまりにも冷静すぎた。
そんな中、カインが前に歩み出て、手を差し出した。
「シオン先輩、死ぬには早いんだから生きなよ?」
「当たり前だ。変なこと言うなよ……」
「アルス先輩も、彼を頼みますよ」
「任せてください」
交互に握手を交わして、カインはフッと微笑した。
入れ替わるように、アミティエが二人の肩を後ろから叩いた。
「二人が死ぬなんて思ってないから、帰ってきてね。そしたら服選び手伝ってよ」
「心配はなしかよ」
「貴女らしいです」
今度は横からリディアが、並ぶ二人の中心に抱きつくように飛びこんだ。
医療学科のリディアは、前線に出ることはない。
「アルスもシオンも頑張ってね! 死んだら恨むから!」
「え、縁起悪いな……。うらまれないようにするさ」
「御安心を」
二人の言葉に、リディアはニッコリと笑って離れた。
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