■明かされる真実、指輪の誓い

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  ラスターはリリスとリディアに目配せした。 世界を救うという使命感を負わされた気分だったが、ラスターは悪くない気がしていた。 これを知った自分達が何とかするしかない。 それはリリスも同じ気持ちだった。 ――それほど、二人は軽い気持ちだった。 「シオン先輩、私達も……」 「いや、お前らは残れ。そして、レイナちゃんを護ってほしい」 リリスが言い終わる前に、シオンは遮った。 ――ここまで話したのに? 怒気を孕む声で、ラスターは抗議を申し立てた。 「どうして!!」 「ラスター。もしもだよ? 私とかが死んだらどうする?」 「なにを……」 「それこそ終わりなんだよ。それに、まだ二人は戦い慣れてない」 「関係ない! 仲間を置いて一人安全地帯にのうのうと暮らすなんて……嫌だ!」 「はう。私もラスターに同感だよ!」 二人の迫る声に、アミティエはうわーっと流された。 ――事実を知る者が居なくならないために、話したんだけどなぁ。 そんなアミティエの考えは解ってもらえず、リリスまでが迫った。 「これを話したということは、協力させてくれるつもりだったんですよね?」 二人に比べ、リリスは落ち着いた様子だ。 「レイナちゃんを護ってほしかった」 その声には、重みがあった。 “惚れた弱み”とはよく聞くが、シオンの言葉には強い信念が宿っている。 ラスターは訝しげに質問した。 「なあ、どうしてシオン先輩はそこまで……?」 その質問に、観念したようにシオンは笑う。 ――教えてやろうか? まるで自嘲のような雰囲気のまま、シオンは言葉を紡いだ。      「俺は、もともと没落貴族でな――」
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