■明かされる真実、指輪の誓い

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  「可哀想に。若い内から家がねえ……」 「そう思うなら引き取ってあげなさいよ!」 「え? いや、わたくしの家は裕福じゃないので。お宅が引き取ってあげては?」 「嫌よ。あんな死んだ目をしてる子なんて……。それに、両親の死亡で役職も取られてしまったのでしょう? ……利点がなくてよ」 口々に、役職だ。金だ。地位だ。と言う貴族の醜さを実感できた。 ガラスを見る度に、自分の目に生気がないことを思い知らされていた。 元々仲の良い貴族も居なかったせいか、俺の引き取り先は見つからなかった。 というより見つけるつもりもなかったのだろう。 始めて下町を歩かされた。 貴族のように華やかなドレスや装飾はなく、人々の顔に余裕がないように見える。 引き取り先がなく、迷路のような町をひたすら迷った。 昔、本で見た“マンホールは温かい”が、ちょうど良い寝床だと思った。 しかし、あまりの臭いに耐えれなかった。 ぐぅ、と腹が鳴っても食べるものがなかった。 仕方なく通行人に助けを求めてみた。 ――あの、すいません……。ご飯を分けてもらえませんか 無視された。めげずに、また聞く。 ――すいません。ご飯を分けてもらえませんか ――ああ? 家にはそんな余裕ないんだ! そう断られた。 たまに、芋や胡瓜の安価な物をくれる人もいたけれど、生では食べにくい。 家の料理は、温かく、子供用に味付けをしてくれていた。 それが普通だと思っていた。 でも今になってわかった。 あの料理は、色んな人の思いがあって温かかったと。 ぼろぼろと溢れてくる涙を、止めることができなかった。
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