■明かされる真実、指輪の誓い

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  お礼ができないと謝った俺に、少女は首を振った。 ――少女がお願いしたのは、話相手。 それからしばらく、ベッドの脇に少女が座り、他愛のない雑談をしていた。 「えっと、お名前は?」 「シオン・セルティア。でも今はシオンかな」 「私はレイナ・アルソート。よろしくね」 そう言って微笑むレイナを見て、顔が真っ赤になっていたと思う。 ――“温かい” 久しぶりの感覚で、涙がこぼれそうになったけれど堪えていた。 「ねえ、シオン。行く場所がないなら、私の護衛をしてよ」 「……え? ご、護衛?」 突然の提案に、俺は戸惑った。 その当時は、嗜み程度でしか剣術を習っていなかったからだ。 「そう。私を守ってほしいの」 しかし、天使ことレイナの暖かい微笑みに、俺の心は奪われたのかもしれない。 迷いながらも、護衛になることを決めていた。 「でも、剣術なんて……」 「習えばいいじゃない」 「でも両親が……」 「大丈夫、もう話はつけたよ。私もお話相手がほしかったから、必死にお願いしたの」 てへっと可愛らしく笑う。 今は思い出すだけで頬が緩み、脳が蕩けてしまいそうだ。 ――あのままなら死んでたであろう命。 救ってくれたのは紛れもないレイナだ。 「……うん、わかった。頑張って、君を護るよ」 実力も根拠もないけれど、その意思に迷いはない。 君の全てを護ると誓って、俺は決心した。 蕾が開花するように、レイナもパァッと笑う。 「やった。 はい」 そして、なにやら小指を差し出してきた。 「ゆびきり。約束は守ってもらうからね」 “ゆびきり”だなんて可愛らしい。 今から過去に向かって、抱きしめてあげたいくらい可愛かった。 俺からも、思わず笑みがこぼれていたのだろう。 「あ、初めて笑ったね」 「え……? そうだっけ」
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