■明かされる真実、指輪の誓い

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  この事を伝えるべく、俺は、いつも通り昼の時間にレイナちゃんの部屋を訪れた。 恐らくはもう知っているだろう。 ドアをノックすると、すぐに入るように声がかかる。 なぜか緊張しながら、俺はレイナちゃんの前に立っていた。 「私は、明日よりアウル家の養子となります」 敬語だったことに違和感を覚え、レイナちゃんは表情を和らげていた。 まるで笑うように。 「護衛という約束を果たせなくて申し訳ありません。ですが、私の気持ちは」 「シオン」 ぴしゃりと切られた。 優しい声で呼ばれて、ドキッと心臓が飛び跳ねた。 「はい」 「これで私と貴方の主従関係は無くなったわね。だから……」 視線はさ迷いながら、ゆっくりと俺に向けられた。 どこか照れたように、頬を薄っすらと桜色に染めて、艶かしく唇を動かした。 その言葉が、 「私と対等な立場で接してほしいの。……友達として」 「……! はっ、はい! レイナ様」 「レイナ」 「レ、れ……れいな」 その時の彼女の、一寸の隙もない満面の笑みに、俺の心は打ち砕かれた。 ――そう、全力で愛そう、と。 「じゃあ……これ、あげるわね」 「指輪? この赤い宝石は、ガーネット……かな」 「そうよ。私のと御揃い。ちゃんと大事にしてね?」 「……はい。そういえば、ガーネットって宝石に意味があったような……」 俺の言葉に、彼女の顔がみるみると赤く染まっていく。 びっくりした俺の顔を覗き込むように、レイナちゃんは叫んだ。 「内緒よ!」 その後は、しばらく談笑を楽しんだ。 ――主従関係ではなく、友達として。 その後、養子となった俺はシオン・ソフ・アウルと名乗った。      引き取り先の義母や義父は、本当の息子のように慕ってくれた。 ――心が満たされたような気がする。 そして引き取られてから一年後。 王立アカデミーに入学した俺は、なぜかバロルに入学した彼女と再び出会うことになった。
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