■魔法の惚れ薬

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  ラスターは目を見開いて、ガチッと固まった。 今の言葉を、頭の中で繰り返す。 ――死のう。 そんな放心状態のラスターの目先に、いつのまにか短剣が突きつけられていた。 いや、鈍く光る刀身が押し付けられている。 「あの……リリスさん……刃が食い込んで、ちょ……」 リリスはニッコリと笑った。――口だけ。 まるで鷹のような鋭い目に、切り込みの入った口元。 その様子に恐怖して、ラスターは飛びのいた。 「あはっ。ラスターは知ってる? 実はね、ラスターってね、魔工学科ではね、憧れの存在になってるのー」 そう言ったリリスはまた、ニッコリと微笑んだ。 ――怖い怖い怖い、怖いッ! ラスターは逃げ出そうとしたが、目の前の人物がリリスだという事実に、逃げることができなかった。 「弟にしたいとか、私を守ってほしいとか、いっぱい……いっぱいいっぱいいっぱい……女の子が言ってるんだよー?」 ――どうしてどうしてどうして、どうしてっ! 元に戻ってくれと哀願するラスターに、無情にも突きつけられたのは短剣だった。 「だからね? ラスターを私だけの者にするの!」 「り……理由になってねぇぇぇぇぇ! なんでそこでリリスのものになるん……うぉあっ!?」 躊躇なき一閃。 尻餅をついて避けれたものの、ネクタイに切れ目が入っていた。 「ねえラスター? どうして逃げるの?」 「に、逃げるに決まってるだろ!! どうしちゃったんだよ! リリ……」 ふと漂わせた視線の先に、リックが顔の前で手を合わせて、ぺこぺこと謝っている姿があった。 ――リック……お前が原因か! 反動をつけて立ち上がった瞬間、今までラスターがいた場所に短剣が突き刺さった。 ――あれ、ここって……石だよな? 「逃げないでよぉ」
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