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「待ってよ、ラスター。私が嫌いなの? 置いてくの?」
「リリス、話を聞いてくれ。お前は……」
鷹の目が、ラスターを睨む。
獰猛な動物が牙をちらつかせているように、リリスも銃の引き金に指をかけていた。
――え、殺されるのか?
スーッと全身が急速に冷めていく。
逃げようと後ろへ一歩下がるが、そこには壁があった。
「大丈夫……大丈夫……」
その瞬間、リリスは引き金を引いた。
――まじかよ!
しかし、転びそうになったラスターを襲ったのは閃光だった。
それも眩しいとかいうレベルじゃなく、目が痛くなる光だ。
ラスターは反射的に目を瞑って、手で影を作った。
「あはっ。ちょっとの間だけ視界が見えなくなるんだよ?」
「なっ……み、見えない……!」
コツ、コツと足音が響く。
一歩、また一歩と音が大きくなる。
その律動的な足音が、まるでカウントダウンのように聞こえて、身震いが止まらなかった。
――段々と戻ってくる視力。
微かに見える目に頼って――後悔した。
そこには、リリスは鼻先がかすめるくらいに詰め寄っていた。
鷹の目と、三日月の笑みが、視界一杯に広がる。
そして艶かしく、ゆっくりと、うっとりしながらリリスは呟いた。
「ラスター、ずっと一緒だよ? ずっと……ずーっと、ずっと!」
優しい微笑みとは裏腹に、銀色の鋭い刃が、太陽の光に当たって輝いていた。
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