■魔法の惚れ薬

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  「それはね……」 もったいぶるな! そう言いたげなラスターの視線に、カインは心の中で嘲笑していた。 しかし、カインは役者なのだろうか。 悲しそうに顔をふせて、肩を微かに震わせていた。 「カイン、そんな難しいのか……? ……でも、絶望的な話でも教えてくれ! どんなことでも俺は諦めない……。信念は願いを成就させる力。そうだろ?」 拳を強く握り、ラスターは力強く言った。 ――そう、ここでリリスを諦めるなんてできない! そんなラスターに、カインは噴出しそうになる自分を必死に抑えていた。 カインは躊躇うような間(笑いを抑える時間)を開けて、顔を上げた。 顔を上げたカインの表情は真剣で、緊迫感が漂っている。 。 そしてカインは、重い口を開く。 「――キス、だ」
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