■魔法の惚れ薬

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  「はぁ……はぁ……、自分でやりたいなら……素直に言いなよ……」 荒い息に、もう余裕は見えない。 カインが苦しそうに言うと、ラスターは林檎のように顔を赤くした。 「だ、だだだだ誰が!」 「やらなきゃ戻らないよ?」 お返しだ。そう言わんばかりに、カインが笑う。 ――うぅ……でも、俺がやらなきゃリリスは……。 男は度胸。ラスターは髪をぐしゃぐしゃと荒らして、自らの頬を叩いた。 「……わかった。俺が……するよ!」 『計画通り』 ほくそえんだカインを尻目に、今度はラスターがリリスの顔をあげた。 「……っ…………」 ――落ち着け、落ち着いてくれ。 心臓が破裂しそうなくらい鼓動が落ち着かない。 視界もぐるぐると回り、呼吸すら途切れ途切れだ。 しかし、ラスターは意を決した。 ――俺がやらなきゃ誰がやる。 リリスの唇に、ラスターはそっと近づけていく。 ぎこちないけれど優しく―― 見ているこっちがドキドキしてしまうような甘いキ―― しかし、鼻と鼻がかする程の距離で、動きが止まった。 リリスが目覚めたのだ。 「ラスター……?」 「のぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」 学園を轟かすんじゃないかという大絶叫。 リリスはこの状況を理解できなくて、驚きながらも赤面している。 今にも気絶してしまいそうなラスターは、慌てて弁明に走った。 「あ、いやっ! ここれは……!」 しかし。 「えーい! まどろっこしいねっ!」
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