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「――無光なる虚空の扉、楔を持ちて開放せよ」
アミティエの詠唱が響き渡ると同時に、六人の真下に巨大な魔方陣が現れた。
魔方陣から放たれる目映い光に目をつむると、また空気が揺らぎ、平衡感覚が歪む。
それが戻ると、一同は目を開いた。
そして、ラスターが驚嘆の声を漏らす。
「すげえ……」
周りの建物はバロルに比べ、綺麗に整った造りで、道も全て舗装されている。
そして上を見ると、城が、雲に隠れているようにも見えるほどだ。
一同がいる場所もそれなりに高い位置なのだろう。
「あれ……お城ですよね? すっごく高いです」
「はぅ、今私達がいるのは一般人の住居区なんだよ。貴族とお城は上層区なんだ」
田舎から来たリリスからすれば、それは驚きだった。
視界を横切ることはあったけれど、実物はやはり違っている。
「王都は最下層と下層と上層に別れているの。上層には貴族住居区やお城があって、そこへ行くには転送装置を使うのよ。下層区には学校やお店が多々存在しているわね」
「加えて、周囲には土による天然城壁に人工城壁があるわけだ」
レイナとカインの説明に、二人はホーッと気の抜けた返事をした。
つまり王都は、山のような形をしていて、そこに階段のような層で分けられているのだろう。
「へえ……さすが人口80万人いるだけはあるな」
ラスターは関心したように王都を見回している。
リリスも見たことのない店に目を輝かせていた。
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