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数十分後。
ラスターは未だに見つていなかった。
ふと辺りを見回せば、大半の生徒たちはパートナーを見つけている。
まさか今日は欠席しているのだろうか。
嫌な不安が過ぎった時――
「君がラスター、かな?」
すぅ、と気配を感じさせずに、後ろから男が現れた。
切れ長の瞳に、目鼻立ちの整った容姿は美形と言われる部類だ。
眉目秀麗といったところだろうか。
「あ、はい。そうです」
艶やかな黒い髪は背中まで流れれていて、かなりの長身だ。背中には大剣を拵えている。
何より特徴的なのは、右目が紅で左目は緑というオッドアイだ。
青年――カインは微笑んで右手を差し出した。
「俺はカイン・ウィルキス、君のパートナーだね。よろしく」
ラスターはその手を受け取り、握手を交わした。
大きく温かい手だ。そう思った。
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