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一同は、下層区の商店街を抜けた先の短い階段をあがった。
そこには、円形の床があって、なにやら術式が刻まれている。
それこそが王都で使われる転送装置だ。
一同が転送装置を作動させると、アミティエの時のような感覚を味わった。
そして目が覚めると、煌びやかな上層区が目に入った。
「……すごいけど、重い」
下層区の一般住宅とは、大違いの豪華絢爛ぶりだった。
綺麗に塗装されている屋敷に、歩く人々気品が漂う服装、優雅な立ち振る舞いが目立つ。
その場の空気にラスター、リリス、リディアは圧されるが、レイナは「余り意識しなくて良いのよ」と言って歩き出した。
それから歩いて数分。
そこには、他よりも一回り大きい屋敷が立てられていた。
「ここよ」
レイナはそう言って目の前の屋敷を指さした。
――え、これが城じゃないのか?
てっきりそう思ってしまったのは、ラスターだけじゃなく、リリスもだった。
「おっきいねー」
「うんうん」
なぜか、カインとアミティエはやたら落ち着いている。
二人が貴族という話は聞いていないが、商人の息子なのかもしれないと、ラスターは勝手に予想していた。
「お話は中でしましょう。さぁ、どうぞ」
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