■戦いの幕開けと暗幕

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  五人には、それぞれに一部屋が与えられた。 部屋には落ち着いた調度品に飾られていて、何より広い。 まるでリビングのようだ。いや、その二倍だろうか。 ラスターは渡された地図(屋敷の)を見ながら、三人は横になれるだろう巨大なベッドに飛び込んだ。 そして横腹につっかえた双剣を抜き、その側に立てかける。 「……」 しかし、ラスターはフランヴェルジュを抜いた。 炎の如く波状になる刀身を、ボーっと眺める。 ラスターにとっては、新しい玩具を買ってもらった子供のような思いだ。 ――その時だった。 柄頭にある赤い宝石が輝きだしたのは。 飛び上がるように、驚いたラスターは起き上がった。 「なんだこれ……! 別に能力なんて発動してないのに……」 光は収まらずに、むしろ、どんどんと部屋全体を侵食するように広がっていく。 赤い宝石は血を吸ったように、妖しい光を魅せていた。 「カインを……っ……体が、動か、ない?」 立ち上がろうとしたラスターを、赤い光が絡みつく。 ――血の鎖。 それを彷彿とさせて、ラスターは焦りの色を浮かべた。 「くそっ! 離れ……ろ……」 その血に酔っていくように、視界が黒く染まっていく。 強烈な眠気に似た、引きずりこまれるような感覚に襲われる。 ――やめ、ろ。 願い叶わず、ラスターの意識はあっさりと引きずり込まれていった。
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