42229人が本棚に入れています
本棚に追加
五人には、それぞれに一部屋が与えられた。
部屋には落ち着いた調度品に飾られていて、何より広い。
まるでリビングのようだ。いや、その二倍だろうか。
ラスターは渡された地図(屋敷の)を見ながら、三人は横になれるだろう巨大なベッドに飛び込んだ。
そして横腹につっかえた双剣を抜き、その側に立てかける。
「……」
しかし、ラスターはフランヴェルジュを抜いた。
炎の如く波状になる刀身を、ボーっと眺める。
ラスターにとっては、新しい玩具を買ってもらった子供のような思いだ。
――その時だった。
柄頭にある赤い宝石が輝きだしたのは。
飛び上がるように、驚いたラスターは起き上がった。
「なんだこれ……! 別に能力なんて発動してないのに……」
光は収まらずに、むしろ、どんどんと部屋全体を侵食するように広がっていく。
赤い宝石は血を吸ったように、妖しい光を魅せていた。
「カインを……っ……体が、動か、ない?」
立ち上がろうとしたラスターを、赤い光が絡みつく。
――血の鎖。
それを彷彿とさせて、ラスターは焦りの色を浮かべた。
「くそっ! 離れ……ろ……」
その血に酔っていくように、視界が黒く染まっていく。
強烈な眠気に似た、引きずりこまれるような感覚に襲われる。
――やめ、ろ。
願い叶わず、ラスターの意識はあっさりと引きずり込まれていった。
最初のコメントを投稿しよう!