■戦いの幕開けと暗幕

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  ――意識が流転する。 色素が鮮明に映し出されているのに、ラスターは自分の体で見ているような心地がしなかった。 辺りは一面が銀世界で、空には雪雲が広がっている。 そこは街のようで、人々の歩く姿も見えた。 そんな人々の中に、整った顔立ちの半分を隠す、金色の髪。 濃紺のマントを羽織る男だけにスポットが当てられている。 手には、炎のような刀身の剣――間違いなく《フランヴェルジェ》が握られていた。 (どうしてフランウェルジェを?) もちろん、自分ではない。 ただただスポットが当てられる男を、ラスターは訝しげに見ていた。 そして男の唇が動くと―― 「フランヴェルジェ……フェルアレスを紡ぐためにも、もう少し頼むぞ。お前が……俺を嫌っていても」 鼓膜ではなく、脳に直接届くように聞こえた。 ――フェルアレスってなんだ? 聞き慣れない単語に問いかけようとしたが、声は出なかった。 「信念は願いを成就させる力……。さぁ、早く成就させよう」 男が微笑んで、空を見上げる。 ――『信念は願いを成就させる力』 それはカインからラスターにも伝えられた言葉だ。 ということは、この男はカインの友人なのだろうか? その時、全ての光景が水面のように揺れると、再び意識が流転した。
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