■戦いの幕開けと暗幕

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  「目が覚めましたか?」 その落ち着いた声に、ラスターは目を開いた。 先ほどまでの光景が嘘だったかのように、元の部屋が映し出されている。 ――夢、だったのか? それにしては色素も鮮明で、それを脳も完全に記憶している。 どこか不可解な気分を味わいながら、ラスターは自分を呼ぶ者に焦点を合わせた。 「あ……」 そこには軍服をしっかりと着こなして、優しそうな笑顔を浮かべる青年――アルスが立っていた。 「おはようございます」 そう言って、アルスはニッコリと微笑んだ。 しかし、久々の再開に喜び合うことよりも、なぜアルスがここにいるのかが疑問だった。 「アルス先輩……どうして?」 「いえ、レイナさんに呼ばれましてね。そのついでに皆さんに会おうと思って来たのですが、ラスターが寝てまして」 それで話し合いも近かったので起こしたんです、と、アルスは弁明するように言った。 一方、ラスターはさっきの事が気になるらしく、苦虫を噛み潰したような表情を見せている。 「どうしました?」 その言葉にラスターは間を置いた。 しかし、結局は答えを濁した。 「……いや、何でもないです」 ――夢以外になにがあるのか。 すっきりはしないが、そう結論を出して、ラスターが笑みを溢す。 「では、皆さんの元へ向かいましょうか」  
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