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屋敷の応接室にラスターが入って来たときには、五人と、見覚えのある人物がテーブルを囲うように座っていた。
「シオン先輩!」
「よっ。元気そうで何よりだ」
アルスと同じように軍服を着こなしているシオンは、切れ長の青い瞳を細めた。
最後に出会った時と、何の変わりもない。
そんな二人の様子に、ラスターは密かに安堵していた。
「では、皆さんも集まりましたし、始めましょうか」
久々に八人揃ったことへの感慨に浸る余韻も無く、ラスターとアルスは早々と座席についた。
いや、おそらくは自分が向かう前に談笑をしていたのだろう。
そう考えて、ラスターは落胆していた。
「まずは私達は義勇兵として参加します。しかし、いくら貴族であろうと平民だろうと――幼い学生。戦場においては前線に出れず、城壁の防衛だけでしょうね」
「軍によれば王都より北にある“ルグレ平原”で開戦する予定らしい。城壁からは相当離れてるね」
レイナの言葉に対して、シオンが補足した。
つまり、防衛組は場合によっては出番がないかもしれない。
かといって人員を少なくするのも危険だと、ラスター以外は理解していた。
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