■戦いの幕開けと暗幕

11/20
前へ
/709ページ
次へ
  屋敷の応接室にラスターが入って来たときには、五人と、見覚えのある人物がテーブルを囲うように座っていた。 「シオン先輩!」 「よっ。元気そうで何よりだ」 アルスと同じように軍服を着こなしているシオンは、切れ長の青い瞳を細めた。 最後に出会った時と、何の変わりもない。 そんな二人の様子に、ラスターは密かに安堵していた。 「では、皆さんも集まりましたし、始めましょうか」 久々に八人揃ったことへの感慨に浸る余韻も無く、ラスターとアルスは早々と座席についた。 いや、おそらくは自分が向かう前に談笑をしていたのだろう。 そう考えて、ラスターは落胆していた。 「まずは私達は義勇兵として参加します。しかし、いくら貴族であろうと平民だろうと――幼い学生。戦場においては前線に出れず、城壁の防衛だけでしょうね」 「軍によれば王都より北にある“ルグレ平原”で開戦する予定らしい。城壁からは相当離れてるね」 レイナの言葉に対して、シオンが補足した。 つまり、防衛組は場合によっては出番がないかもしれない。 かといって人員を少なくするのも危険だと、ラスター以外は理解していた。
/709ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42229人が本棚に入れています
本棚に追加