■戦いの幕開けと暗幕

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  王都の下層区の更に下に存在する《最下層区・下町》 そこは一般人も居れば、どこからか来た異国の人や、職を負われるものと――ゲリラ的に集っている。 上層区の様に上等な建物や装飾品などは全く無いが、人々の表情は明るい。 華とは無縁だが、人々には心があった。 しかし、やはり犯罪者は絶えない。 建物の影を縫うように移動して行くと、多くの人々が集まっていた。 そこは日の光が当たることのない場所で、永遠に闇が消えることはない場所だ。 そしてその場所には、所謂「悪人」や「犯罪者」と呼ばれる者達が集っていた。 そこに濃紺のマントを羽織る青年が、多くの悪人に囲まれて立っていた。 「おいガキ、その腰に下げる袋はなんだ」 「金貨。20枚くらいだけどね」 青年の言葉に、周囲から囁きあう声が幾重にも聞こえてくる。 金貨が20枚もあれば、5人くらいなら最下層区から旅立つことができる。 問いかけた男は、ニヤリと薄気味悪い笑みを浮かべると、腰にある剣に手をかけた。 「命は助けてやる。ただしその金貨を置いていけばな」 「えー? 上げるわけないじゃん」 余裕を見せる青年はニコッと笑い、目に掛かる髪を手で押さえた。
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