■戦いの幕開けと暗幕

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  闇を失った世界は、先ほどまでは真っ白だったものの、今は朱に染まっていた。 「君で最後だね」 累々と横たわる死屍の側で、ルイは嘲笑を浮かべていた。 最後と呼ばれた男は、得物を捨てて、尻餅を付きながら逃げようとしている。 その様子が、深い嘲笑を誘う。 「わわわ、悪かったっ! だから……」 「もがけ、苦しめ、叫べ、……狂え」 男の哀願も虚しく、ルイは突き放すように笑った。 剣から漆黒の触手が伸びていき、職種が、男の耳、目、口から体内へと侵入していった。 「あ……ごがぅぐごがががががごぶぉあぁぁッ!」 聞いたことのない本物の絶叫。 男の瞳孔が開ききって、血管や脈が隆起している。 頭を抱えて苦しむ男は、狂ったように叫び散らしながら、蠢く触手に体を崩壊させていった。 「案外、持たないもんだね」 周囲は鮮血に染まっているが、青年には一滴も触れてはいなかった。 ルイは悲しそうに、屍山血河を見つめる。 「カイン……やっぱり君に会いたいなぁ」 ルイはそう呟くと、漆黒の剣を虚空へと消した。 途端、闇が周囲に戻っていく。 そして男達の割れた頭や取れた腕も、元通りになっていた。 それから数日後――30人を越える男達が、路地裏で仲良く眠っていたとの噂が広まった。
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