■決戦‐残留組‐

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  ルイの訪問より十日が過ぎた日の夜。 王都に漂う張り詰めた空気感に、人々は不安を隠せなかった。 明朝、両軍の兵士がルグレ平原にて衝突すると予想されている。 「第一隊から第四隊はルグレ平原へと進軍し、敵兵と遭遇した後、戦に入る。 第五師団から第八師団は大型魔導機関に乗り、先刻出撃した。 義勇兵諸君は王都の警備を固めよ――とのことです」 レイナの屋敷の外に集まる一同に、アルスは事務的に告げた。 上層区であるここも、不安と興奮がない交ぜにされたような雰囲気に包まれている。 「とうとう、始まるんだね……」 呟いたのは、悲しそうな表情を浮かべるリディアだった。 圧し掛かるように重い空気が一同を包むが、シオンはそれをかき消すように言った。 「それを止めるために、“鍵”を先に入手するんだ。鍵単体でも強力だから、取られたら本格的になる」 「その通りです。……では、マナの塔に向かう四人は、今からアミティエが魔法で飛ばします」 アルスの言葉に、四人は頷いた。 アミティエは詠唱を始まる。 リディアは「またね」と、笑顔で手を振っている。 リリスは祈るようにして「ちゃんと帰ってきてください」と、小さな声で呟いていた。 「危険な時は魔石を使うように。ある意味、私からの命令です」 その瞬間、四人を魔方陣が呑み込んだ。 輝きだした光の中に、四人は吸い込まれるように輪郭を失っていく。 「生きて帰ってくるように」 その言葉とともに、四人は姿を消した。
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