■決戦‐残留組‐

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  「さて、私達も防衛ラインに向かいましょうか。場合によっては、歩兵小隊30名ほどが潜入する可能性もあります」 アルスは目にかかる黒髪をよけて、北側の城壁へと体を翻して歩き出した。 先ほどの雲った表情は嘘のように消えていて、無表情だ。 リリスとリディアは、 それほどあっさりと気分を一新できないようで、表情を曇らせている。 そんな中、アミティエは周囲を鋭く睨んでいた。 なにか違和感を感じて―― 四人は上層区から移動し、城壁の前にまでやってきた。 城壁には多くの人々がいて、魔法学園に通っていたであろう生徒もいれば、義勇兵もいた。 「すいません、状況について教えていただけませんか?」 そんな中、兵士の証明である銀色の鎧に身を包む男に、アルスは問いかけていた。 男は薄笑いを向けて、答えを返した。 「現状は有利らしい。敵軍の陸上部隊は厄介だが、魔法使いが集まる第三師団が良い援護をしているらしいな」 それを聞いて、アルスを除く三人は安堵した。 しかし、アルスは考え込むように眉根を寄せている。 ――順調に行き過ぎている。デストロイならば陸上よりも、機会で押してくるはずだが……。 数瞬の思考を終えると、アルスは三人に微笑みを向けた。 「私は少々行く場所がありますので、こちらで待機していてください」 不思議そうにアルスを見た三人に何も言わず、アルスはすぐに走り去ってしまった。 「どうしたんだろうね? はぅ」 「何か忘れ物でしょうか?」 リディアの言葉にリリスが答えて、二人は同時に首を傾げた。
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