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それから数時間が経ち、夜が明けそうだった。
しかし、アルスが帰ってこないまま、リリスとアミティエが仮眠を取っている時。
「伝令!」
突如、上に設置されているスピーカーから男の声が響き渡る。
男は焦るような声で続けた。
「最下層区の下町にて“ケルベロス”が出現した! 一つの隊では厳しい状況だ。至急、援軍を要請したい!」
その声が響くと共に、辺りが壮絶となる。
――ケルベロスはダークドラゴンと並び、モンスターの中でも上級に位置する。
なぜ、そんなモンスターが王都に侵入できたのかが不思議で堪らないだろう
「ちぃっ! 第5隊と義勇兵は俺に着いてこい! 大至急、下町へ行くぞ!」
第5隊の副隊長が剣を掲げて、大きく叫んだ。
しかし、義勇兵の多くは恐怖に当てられて動こうとはしない。
勇ましくも30名ほどは付いたが、それでも本来はこの五倍が集まるはずだった。
しかし、一刻を争う。
兵士は進軍し、大半の人々はそれを見守った。
「私達も行きましょう」
「はぅ、もちろん!」
「そうだね。ケルベロスなら、私やリリスみたいに弱点を知ってる人が行かなきゃ」
モンスターの実力と弱点は、それを使役する二人の知識内だ。
三人はその場を離れ、下町へと向かった。
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