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「あはっ……、ごめんね。魔力使いすぎちゃったよ……」
それでもリディアは懸命に微笑もうとしていた。
額には汗がびっしり張り付き、呼吸も一定に乱れるのではなく、呼吸がかすれているほどだ。
ケルベロスは、その大量のマナに反応してゆっくりと向かってきている。
しかし、立ち塞がるようにリリスとアミティエは前に出た。
「リディア先輩、素晴らしいです。あとは私達が……」
「止めます!」
アミティエの言葉を、リリスが継ぐ。
その表情に、不安や恐怖の色は浮かんでいない。
むしろ得物を構え、戦おうとしていた。
「ガァァァァァァァァァァァ――ッ!!」
ケルベロスの咆哮は、空気と大地を震わせるようだった。
その強大な威圧感に、側の兵達が気圧されている。
それでも、リリスとアミティエは怖気付かなかった。
「行きます!」
負けじとリリスが叫び、地面を蹴って駆け出す。
アミティエは右腕の指輪を発動しようと、リリスと別の方向を走り出していた。
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