■決戦‐残留組‐

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  「……脅しだとでも思っているのか? この魔導大砲は、爆発しなくてな。凝縮されたマナの塊が、ブラックホールのように周りのマナを吸い込んでいくんだ」 つまりマナで構成される万物の天敵だ。 そう付け加えると、ガロンは手を振り下ろした。 確かにマナの凝縮された塊が、魔導大砲の中で暴れまわっている。 これだけのマナが放たれれば、王都の四分の一が抉れてしまうかもしれない。 しかし、アルスは何もせずに見ている。 その様子にガロンは軽く舌打ちをすると、呆れて男から視線を反らした。 「気にするな。魔導大砲――撃て!」 その宣言と共に、爆発音が轟(とどろ)いた。 凄まじい轟音に重なって、黒い球体が勢いよく放出された。 それこそが凝縮されたマナの塊。 放たれてしまえば、もはや誰にも止められないだろう。 ガロンは皮肉を込めて、目の前のアルスに嘲笑を向けていた。 ――しかし、その球体が空中で静止する。 「なっ、なんだこれはぁ!?」 黒い球体は空中に静止し、何かの見えない光と衝突していた。 このままでは球体が、その場で爆発してしまう。 ガロンは白色のマントを翻し、兵士など気にも止めずにその場を去ろうと走った。 「マナの凝縮の欠点は、相反する属性をぶつければ、その場で容易に拡散することですね」 男は薄く微笑み、黒い球体を見つめた。 「この場合は四元素を含んだうえで、光を主体としたものを当てればいい」 その瞬間、黒い奔流と光の奔流がせめぎあい、球体はどんどんと膨れ上がった。 そして拡散――。 黒い球体から放たれる光が、逃げ遅れた兵士を呑み込み、大地をも呑み込んでいく。 しかし、アルスの周りには再び光がせめぎあい、黒い球体から身を守っていた。
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