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体育館から少し歩いた先の十字路を左に行くと、中庭に着いた。
中庭は緑の芝生に覆われ、花壇には色素を鮮明に映し出している花が風になびいていた。
中庭は昼食や息抜きによく使われるため、ベンチが多く設置されている。
そのベンチの一つを見ると、少女が二人座っていた。
その少女がこちらに気づいたらしい。
ベンチから立ち上がると、こちらに向かって手を振り始めた。
「おーい! 遅いよ、カイン!」
「ごめん! ちょっと遅れた」
少女の声にカインも大声で返すと、ラスターの手を引っ張り少女のベンチに移動した。
そこにはラスターにとって見覚えの――いや、見慣れすぎた少女がいる。
「リ、リリス!?」
「ラスター!」
ほぼ同時に声を発していた。
それを見ていた少女とカインは目を丸くして、小首を傾げている。
「二人は知り合いなんだ?」
少女の問いかけに、二人は頷いた。
「「はい! 幼馴染みです」」
と、またも同時に言って顔を見合わせた二人に、カインと少女は笑っていた。
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