■授業とパートナー

13/18

42229人が本棚に入れています
本棚に追加
/709ページ
  光に包まれた後、空気が揺らぎ、歪んだ。 ラスターは眉根を寄せた。 (うぇ……なんか気分悪くなる……) それから光が消えて、平衡感覚が戻ると、目の前に映る光景ををまじまじと見渡した。 どこまでも続いてるかのような広い草原で、あざやかな緑に目が痛いほどだ。 「すごい……!」 リリスとラスターの第一声だった。 これは目の前の光景だけではなく、アミティエについてでもある。 先程使った移動魔法は、上級魔法に部類するものだからだ。 つまり彼女こそが――この学園でも有数の実力者。 「さーて、ここなら暴れられるよ」 カインはそう言うと背中の大剣を抜いて構えた。   刀身には、入学式に支給された無色のゴムが付けられている。 入学時に支給されるもので、怪我を防止するためのものだ。 「さあ、ラスター。まずは君の実力を見てあげるよ」 「……ほ、本気で良いんですか?」 その言葉にカインは目を丸くしたが、すぐに薄い笑みを向けた。 「あはははは! 良いよ良いよ」 ラスターは笑われたことに多少の不快感を感じ、後ろに下がると双剣を引き抜いた。 無銘の剣だが、親から譲り受けた愛剣だ。 「リリス。ラスター君って実力的にどうなの?」 カインとラスターから距離を置いていたアミティエが、花を集めているリリスに問いかけた。 「筆記はダメダメですけど……、実技は一年生でも上位だったと思います。剣はすごいんです」 「へぇー、そうなんだ。意外……」 「カイン先輩はどうなんですか?」 「んー……、それは秘密!」 アミティエは陽気な語調で告げると、剣構える両者を見つめた。
/709ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42229人が本棚に入れています
本棚に追加